勝負運。それは勝敗を決める上で、誠に大切な要素でございます。
実力があっても、肝心の勝負時に運を味方にできず敗退――スポーツの世界大会では見慣れた光景と言えましょう。
逆にあれよあれよと勝ち進んで大番狂わせでも起こそうものなら、やれラッキーボーイだラッキーガールだと持て囃され、一躍時代の寵児となることもあるのが一発勝負の世界。
いわんや救世主候補者ともなれば、強運の持ち主でなくては奇跡のような活躍など到底できるものではありません。
そして強運の持ち主を探すには、互いの運をぶつけ合うギャンブルは最適。
というわけで、今回天界はサリエル様をカードディーラーとして、毎度おなじみのカジノに送り込んだのです。
サリエル様といえば、くしゃみひとつで邪眼が発動し、どんな奇跡あるいは災いを起こすかわからないという天界きってのトラブルメーカー。
そんなサリエル様がカジノに赴けば、億万長者だらけになるか、カジノが崩壊するか、いずれにせよただでは済みません。
でもそこを笑って切り抜けられるほどの強運の持ち主がいれば、救世主候補者としても期待が持てるというもの。天界の人選も、意外とアグレッシブなんですね。
さて、カードディーラーは接客業だけに、きちっとした制服は欠かせません。
そしてディーラーの制服といえば、ブラウスに蝶ネクタイ、ベスト、それに大胆な切れ込みの入ったミニスカートが定番スタイル。
なおサリエル様は、天界指折りのグラマラスボディの持ち主でもあらせられます。
当然、収まりきりません。それはもう色々とハミ出し気味になっておいでです。
豊満すぎるバストのトップをどうにか覆うために限界まで引き伸ばされたブラウスとベストは、引き換えにそれ以外がすべて出てしまっているような有り様に。
ミニスカートもむっちりとした腰肉を収納するにはサイズが小さすぎて、全周囲にチラリズムを撒き散らす大サービス状態になられています。
しかし当のサリエル様は、ディーラー服の布地にも愛情を注がれるほどの慈悲に満ち溢れた、女神様のような方なのでございます。
サリエル「まぁブラウスさん。懸命にお乳を支えようとがんばる姿がマーベラスですよ」
普段から「私は全身がお顔」と公言されるだけあって、今にも美しい肢体が限界状態の服から零れ落ちそうであっても意に介さず、衆目を集める中でサリエル様がディーラー席に着かれました。
途端に、サリエル様のエレガントな双丘がまろび出る瞬間を見逃すまいと狙う紳士たちによって、たちまち卓が満席になり、立ち見客も幾重にも取り囲んで立錐の余地もありません。
そんな人間の下心などはお見通しの上で、女神様の微笑みを振りまきながら、おもむろにカードを手に取ったサリエル様。いよいよディーラーらしく、華麗なるカード捌きをご披露されます。
サリエル「しゃしゃしゃしゃしゃ」
カードを切る軽快な音――は、サリエル様が自らのお口で出される効果音。対して実際の手元はといえば、最も初歩的なヒンズーシャッフルながら、カードを下からすくっては上に乗せる作業をぺったん、ぺったんと、いかにもたどたどしく繰り返されます。
さらにはサリエル様、リフルシャッフルにも果敢に挑戦されます。カードを2つの山に分けて、端同士をかみ合わせ、カードを反らせながらひとつの山に揃えるシャッフルです。
サリエル「しゅばばばば」
再びサリエル様が御自ら、軽快な効果音を発せられます。しかし実際の手元では、反ったカードが四方八方に飛び散り、卓上から床からそこら中でカードが裏表になっています。
サリエル「あらあら」
飛び散ったハートのAを胸の谷間に挟んだままのサリエル様が、一向に悪びれることなくカードの惨状を見渡しますが、これでは到底ゲームになりません。
見かねた周囲の提案により、サリエル様には客として席に着いていただき、客のひとりがディーラーを買って出ます。
この客ディーラーは、今度は手品のように鮮やかにカードを捌いてみせ、サリエル様も含めてその場の人々を唸らせます。
ところが、裏表になったカードを拾い集めてそのまま使用したため、客ディーラーはカードの並び順を把握し、カードを配る際に意図的な手札にするイカサマである積み込みも仕掛け放題となっていたのです。
当然周囲もグルで、これによって次第にサリエル様の負けが込み始めます。
ゲームに不慣れな自分がつけこまれ、カモにされていることには途中で気づきながら、それでも女神様の微笑みで赦してしまわれるのが“慈悲”のサリエル様。
サリエル「あらあら、賭けるものがなくなってしまいましたよ」
天界から持たされた軍資金を巻き上げられてしまって困る一方で、客ディーラーや同卓の連中を「そんなにも必死になってまで勝ちたいのね。仕方のない子たちですね」と見守る目は、勝つまでゲームをやめない子供のわがままに付き合わされる母親のようです。
とはいえ、もう賭けができないので終わりにしようとしたサリエル様ですが、客ディーラーの本当の狙いはここからでした。なんと、サリエル様の着衣を賭け金にしての勝負を持ちかけたのです。
制服も控室に用意されていたものを着ただけで、さほど執着もなかったサリエル様は、これを承諾。結果、ベスト、ブラウス、ミニスカートと、お召し物を一枚一枚剥がされてしまわれたのでした。
ついには ブラジャーを賭けての大一番となり、これにも当然のごとく負けられたサリエル様は、無数のギラつく視線の中で、ブラジャーを奪われるはめになったのでございます。
ああ、無情にもホックを外され、引き剥がされる天使のブラジャー!
「おお……」と低くどよめきながら一同が凝視した先に現れたのは、サリエル様の超豊満バストの先端を覆い隠す天使の翼型ニップレスでありました。
これは、サリエル様が今回のように誰かにつけこまれて裸にされても大丈夫なように、あらかじめミカエル様が着けさせていたのです。
そしてニップレスが人目に触れるような状況になった場合には、サリエル様を助ける者が現れるよう、天使のおまじないもかけられていたのでした。
今や神々しい絵画のようなスーパーセクシーボディを隠すものは、ニップレスとパンツのみという格好にさせられていたサリエル様の肩に、ふわりとジャケットをかけるグッドルッキング・ガイが現れます。
サリエル「まぁ、ご親切なあなたはどちら様?」
上半身はジャケットで隠せるようになったサリエル様が、カモシカのようにキュッとアップしたヒップと垂涎もののレッグラインは丸見えのままで、グッドルッキング・ガイに問いかけます。
グッドルッキング・ガイは名乗らず、サリエル様に代わって賭けを買って出ると、たちまち奪われた衣服を取り戻し、さらには当初の持ち金までも奪い返してくれたのでした。
これではもうカモにできないと踏んだ客たちは、次々とサリエル様の卓を離れ、気がつけばサリエル様とグッドルッキング・ガイの2人のみとなっておりました。
この一連の勝負を見守ったサリエル様は、グッドルッキング・ガイが尋常ならざる強運ぶりを発揮するところを何度も目にしたため、彼は救世主候補者になれる、いやむしろ救世主に違いない、だって助けてもらっちゃったもん、とすっかり信じきってしまわれます。
たとえ裏があろうとも、人を安易に信じる。それはサリエル様の優しさであると同時に、何が来ても揺らがない強さでもあるのです。
はたしてグッドルッキング・ガイは、サリエル様が信じるような救世主なのか、それともすべてを計算ずくでやっている稀代の詐欺師か――。
ここでグッドルッキング・ガイから、サリエル様との一夜を賭けた勝負が申し込まれます。どうやらこのグッドルッキング・ガイ、後者だったようですね。
期待は裏切られたものの、逆に彼を正道に導こうと考えるサリエル様は、彼との勝負に応じ、当然のごとく負けてしまわれます。
ラグジュアリーな別室に連れて行かれたサリエル様は、グッドルッキング・ガイが肩にかけてくれたジャケットを、そのグッドルッキング・ガイ自身によって剥ぎ取られ、再びニップレスとパンツのみのアメージングなスタイルにされてしまいました。
そのうえサリエル様のすらりとした手足をベッドに大の字に縛りつけ、動けないようにする始末。このグッドルッキング・ガイ、救世主どころかとんだ鬼畜凌辱野郎だったみたいです。
それでも暴れるようなことはせず、いそいそと服を脱ぐグッドルッキング・ガイを、いたずら小僧に困らされる母親のような視線で見つめるサリエル様。いくらなんでも慈悲をかけ過ぎな気もいたしますが、これがサリエル様のジャスティス、生き様であり強さなのです。
馬並みのボーイを滾らせて馬乗りになってくるグッドルッキング・ガイに、手足を縛られたままでも内側から輝くように美しい肉体そのもので、説得を試みられるサリエル様、まさしく肉体言語です。
しかし、今やゲスな本性をニタリと顔に貼りつけたグッドルッキング・ガイには通じなかったようで、容赦なくサリエル様のニップレスの端にカリカリと爪を立て、ペリペリと剥がしにかかります。
おお神よ……。ついに姿を現す、薄紅色の屹立。
サリエル「ミカさんから、剥がしちゃダメときつく言われておりましたけれど、剥がしたほうが解放感はありますよ」
この期に及んでも余裕綽々。面白いことに、裸になるほどにサリエル様の風格が増していきます。極限まで美しい精神が宿った美しい肉体には、隠したいところなど存在しないのです。
それは触れ得ざるものなのか。ニップレスを剥がした途端に溢れ出す、あまりの神々しさに気圧されるグッドルッキング・ガイ。だがここまで来て引き下がれるものかと、眩しそうに眼を細めながらサリエル様の最後の砦たるパンツに震える指を伸ばします。
それはまさに神の芸術品。海より生まれ、貝殻の上に立つ美の女神のようなアメージングなお姿になられたサリエル様は、ボディそのものが心に直接語りかけ、さすがのグッドルッキング・ガイも思わずベッドから飛び降りて床にひれ伏してしまいました。
サリエル「くちゅんっ」
パンツを下ろされてぶるっと来たサリエル様が、かわいらしいくしゃみをされました。
そして普段は長い前髪で隠れ気味の邪眼がキラリと光ります。
次の瞬間、サリエル様は天界の自室のベッドにお戻りになられ、入れ違いにグッドルッキング・ガイを残す部屋には隕石が命中したのでございます。
邪眼が発動されると、一時的に力を使い切ってぐったりしてしまうサリエル様。部屋に怒鳴り込んできて、ニップレスやパンツの件で憤慨するミカエル様のお小言すら子守歌のように聴き流し、女神様の微笑みを浮かべてすやすやとお眠りになられるのでした。
全裸最強天使のサリエル様が、こんな調子で救世主を見つけられるのか、それはご自身にもわからないのでございます……。